CASE STUDY

導入事例

大人気スマホゲーム『SINoALICE -シノアリス-』が実践しているクリエイティブの進行管理法とは

株式会社ポケラボ 様

ゲーム事業本部 クリエイティブプランナー 村上 聡史 さん

定期的なイベント開催やアップデートが必要なスマートフォンゲーム。その裏には、膨大な量のイラスト、モーション、エフェクト、サウンドの制作が欠かせません。900万ユーザーを突破する大人気スマホゲーム『SINoALICE -シノアリス-』では、制作物をどのように進行管理しているのか。ゲームプランナーの村上 聡史氏にその進行管理法と、Brushup を導入した効果を聞きました。 (2021年8月24日に「コンピュータエンターテインメントデベロッパーズカンファレンス2021 (CEDEC 2021)」で実施したセッションの内容を要約しています)

進行管理はプロダクトチームとクリエイティブチームの潤滑油

ーー『シノアリス』を実際にプレイしてみて、ゲーム画面の美しさと表情の豊かさがすごいと感じました。その分、制作物が膨大になるだろうし、チェックも厳しくなると思います。どのような体制で進行管理をしているのでしょうか。

社内でプロダクトチームとクリエイティブチームを分けており、プロダクトチームからクリエイティブチームに必要なイラストなどを発注する流れになっています。また、どうしても内部だけでは対応が難しい制作物は、外部の協力会社にお願いしています。

私達の制作進行管理チームは、それぞれの間に立って、円滑に制作が進むように窓口になる役割です。例えば1点のイラストを作る場合も、コミュニケーションがうまくいかなければ全くイメージと違うものになってしまうので、我々が間に入ることで認識の齟齬をなくす、いわば潤滑油のような感じですね。

ーー具体的にどんなことをされているのですか?

タスクは大きく6つに分けられます。

まずは「制作内容の相談」です。プロダクトチームから企画が上がってきたら、内容の認識を同じものにし、各チームの役割の分担と制作順序を話し合います。その日程調整や協議がうまく進むように事前準備を整えておくことが制作進行管理の役割になります。

様々な制作物が同時に動いているので、今の全体のスケジュールを見ながら、新たに発生した制作物がどんなスケジュールで進められるかを検討し、「発注スケジュールを作成」します。

誰がどの制作物を担当するか、どのようなスケジュールで行うかが決まれば、「制作指示書を作成」します。ただこれは、プロダクトチームがやる時もありますし、場合によってはクリエイティブチームにやってもらう時もあります。ここまででいかに具体的にできているかが、その後の質やスピードにつながってくるのですごく力を入れているところです。

ここからは実際の制作が始まります。制作進行管理は「チーム間の窓口」になり、認識の齟齬が起きないよう常にコミュニケーションをとるようにしています。中でも重要なのが、いろんな人に制作物が渡っていくので、そのやりとりがスムーズにできるように確認することです。常時「進捗状況を確認」し、進みが悪い場合、コミュニケーションをとりながらその原因と解決策を図っていきます。

できあがった制作物の管理を怠ると保存するフォルダがごちゃごちゃになったり、どこに保存されたか分からなくなることもあるため、「納品物の管理」も制作進行管理の重要な仕事ですね。

エンジニアリングの知識とクリエイティブの知識の両方を、ある程度持っておかないと円滑に話し合いをすることができないので、どちらかに偏ることのないように知識を身につけることが大事だと感じています。

アイテムごとに残るコメントログで制作意図の振り返りが容易に

ーーBrushup を使う前はどのように進行管理されていたのでしょうか?

社内で運営しているレビューツールを使っていましたが、制作全体を管理するのではなく外部の協力会社とのやりとりのために使っていて、正直全体を管理するのにはとても苦労していました。そこで社内の制作物を含めて進行管理を全てまとめられて、かつコミュニケーションが取りやすいものがないかと探した結果、Brushup を採用することにしました。

ーーBrushup を導入して良かったと感じられている点はありますか?

メインの機能であるレビュー機能については、ブラウザ上で全てのコミュニケーションが完結し、認識の齟齬が抑えられるので、チェックバック工数の短縮につながったと感じています。

具体的に言いますと、例えば動画に対する修正を依頼しようとすると、動画プレイヤーで動画を確認しながら、時間を書き出して指示を文章化するのが通常です。Brushup であれば動画の再生とコメント投稿がブラウザ内ででき、しかも動画に直接記号を入れてコメントを残すことができます。受け取った側もコメントをクリックすれば、その動画の再生時間に飛ぶので指示されている内容がすぐに確認できます。

さらにコメントごとに返信がまとめられるので、その指示に対応されているのかがわかりやすく、認識齟齬が起こりにくくなっている点が優れていると感じています。

ーーレビュー機能以外ではどうですか?

タグ付けやカスタム属性を設定できるので、制作者のキャッチアップコストが削減できています。

これは各社の運用によると思うのですが、当社ではイベントごとにアイテムをタグ付けしていてタグで絞って表示することで、すぐにそのイベントで使ったアイテムを一覧で確認できるようにしています。やはり長年運用していると過去にどういったイラストを使ったのかなど確認したいことがあるので、それがすぐに探せる環境にあるというのはとても便利です。

また新しく入社された方への引き継ぎにも大いに役立っています。新しい人がスタンプの担当者となった際、カスタム属性のスタンプで絞り込めば、過去の制作時にどのようなコミュニケーションがされていたのかをすぐに把握できます。わざわざ説明する手間もなくなりますし、新担当者も過去のものが見れた方が理解しやすいということが多く、とても重宝しています。

ーー新しい担当者への引き継ぎにも役に立っているのですね。

新しい担当者だけでなく、『シノアリス』チーム全体の制作ログとしても活躍しています。

Brushup を導入する前はチャットツールを使ってコミュニケーションをしていました。ただ、どうしても人の入れ替わりがあるので、前任者がどうしてそのような仕様にしたかがわからないことがあり、それをチャットのログで追うと、いろんなコメントが混じり込んでくるので、そのアイテムのチャットを追うだけでもとても大変でした。

Brushup では制作物ごとにアイテムが分かれていて、そこでコミュニケーションが発生しているので、その制作物がなぜその仕様になったか、数年前のものでも当時の状況を詳細に把握することができます。

ーー最後に今後のBrushup に要望はありますか?

当初は正直『シノアリス』がこれほど大きなプロジェクトになるとは思っていませんでした。以前に比べて制作物は大幅に増えており、Brushup がなかったらどうなっていただろうかと思うと恐ろしいですね(笑)。

Brushup もどんどん機能が増えており、成長されているのを感じます。これからも一緒に成長していければなと思っています。


『SINoALICE -シノアリス-』とは

ポケラボとスクウェア・エニックスが贈るスマートフォン向けバトルファンタジーRPGです。
本作では、原作・クリエイティブディレクターとして「NieR」シリーズ、「ドラッグオンドラグーン」シリーズを手掛けたヨコオタロウ氏、音楽には「NieR」シリーズ、「ドラッグオンドラグーン3」でヨコオタロウ氏とタッグを組んだ岡部啓一氏・MONACA、オリジナルキャラクターデザインは新進気鋭のイラストレータージノ氏を起用しています。日本国内では、2017年6月のサービス開始より多くのユーザーの皆さまにご利用いただき、2021年4月時点で900万ユーザーを突破しています。

公式サイト:https://sinoalice.jp/